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ドイツの品質

2023年10月30日

ようこそ客席のないレストランKEYAKIへ

今日は、KEYAKIの食器の中からドイツのフッチェンロイターのお皿を紹介いたします。
特別高価でもなく普通のお皿です。とは言え、made in Germanyの品質の良さを改めて感じます。

1814年創業のドイツのフッチェンロイター社は、創業以来伝統を重んじ「人間の手にまさる技術、機械は存在しない」と信念を貫き、数百人の手を経て白磁が完成され、特に絵付け作業は手作業にこだわっているそうです。

花の名前は分かりませんが、優しく料理を引き立ててくれます。

縁のレリーフが施してあり素敵ですね。

客席のないレストランKEYAKI
支配人

グロテスク文様

2023年09月16日

ようこそ客席のないレストランKEYAKIへ

今日は、KEYAKIのお皿コレクションから
「フロレンティ-ン ターコイズ」というお皿を紹介します。

ターコイズカラーを基調としていて、ボーダー状のデザインをよく見るとグロテスクなんです。
中央のフルーツの可愛らしさでバランスが取れている、なんだか不思議なお皿です。

1759年創業のイギリスの有名な食器メーカーのお皿です。日本でも長い間親しまれているお皿で、もちろん現在でも作られています。

フロレンティ-ンに描かれているボダーのグロテスク文様を調べてみました。
ギリシャ神話の「グリフィン」がモチーフで、グリフィンとは鷲の頭と翼、ライオンの胴体を持ち、黄金を守護とする空想の優れた動物のことです。
西洋版「鳳凰」と言うところでしょうか。

ポアッソンアラクレーム(鮮魚のクリームソース)をこの皿でお出しした、ある日のディナーの事を思い出しました。

この皿の中央に魚を盛り付けると、皆さんの想像通りかなり重い色合いの仕上がりになります。ましてやその日のシェフは悪魔にとりつかれたように、色のないガロニ(付け合せ)とまさかのバルサミコソース。これ以上暗い料理はない。
お客様は初老の女性。お魚を食べ進むにつれ「ホッとしたわ」。そうです、可愛いいフルーツが見えてきたのでした。
私もそれ以上にホッとしました。

シェフ曰く、「フルコースって楽しいね」。その日のビアンド(肉料理)は思いっきり明るい料理だったような気がします。

フロレンティーンの世界観にまた、深いものを感じました。

客席のないレストランKEYAKI
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皇妃ユジェニーという名の皿

2023年05月27日

ようこそ客席のないレストランKEYAKIへ

今日はKEYAKIのお皿コレクションをご紹介します。
実はこの皿、KEYAKIコレクションの中では、個人的に一番好きなお皿なんです。

「アンペラトリス ユジェニー」と言う名のお皿。
前回も登場したフランスリモージュ地方の陶器メーカー「アビラント」(創業者:ダビットアビラント)のお皿です。
仏:imperatriceアンペラトリスは皇妃という意味。そして、Eugenie:ユジェニーはフランス皇帝ナポレオン三世の皇妃のお名前なんです。
皇妃ユジェニーは、アビラントさんに好きなスミレの柄の皿を作ってほしいとお願いしたそうです。そして、彼女はそれをとても気に入り愛用し続けました。もちろん、この皿の名前は「アンペラトリス ユジェニー」となりました。
「なぜ、この皿の名前をスミレにしなかったのか」とか思いを巡らせたりして、フランスらしい歴史をも楽しめるテーブルウエアーの逸品です。
仏:violetヴィオレ=スミレ

当店のこのお皿、長年使われ柄の一部がすり減ってしまっていますが、それがまた愛おしく感じます。とにかく、この可憐なスミレ、いいですね。
今でもフランス大統領宮邸での晩餐会用の食器の一つとして使用されているそうです。  
スミレの季節ももうすぐ終わりますね。
これからの、梅雨や夏を乗り越えるためにも、ぜひ「ガサエビのビスク」をお召し上がりください。

客席のないレストランKEYAKI
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KEYAKIコレクション

2023年03月30日

ようこそ客席のないレストランKEYAKIへ

今日は、レストランKEYAKIで実際に使っていた食器の中から「アビランド」を紹介します。

アビランドはフランスのリモージュ地方に工場がある陶器や磁器のメーカーです。
益子焼、美濃焼、リモージュ焼と言ったところでしょうか。
リンカーン大統領の食卓でも使われていたそうです。
正直言ってこのぐらいの事しか知らなかった、今日ご紹介する「ヴューパリグリーン」(ミート皿)について、この機会に少し調べてみました。
残念ながらすでに廃盤になっていると思いますがアビランドの人気のシリーズの一つだったそうです。
ナポレオンの皇帝スタイルのデザインで、ブローニュの森のバガテル庭園をイメージにしたものだそうです。

ナポレオンの威厳とヨーロッパ庭園の可愛らしさが一枚のお皿の中に盛り込まれている、とても好きな皿です。

ガサエビのビスクの後のポアッソンで、お料理と同じくらいお皿も楽しんでもらいました。

客席のないレストランKEYAKI
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デミカップと社長

2022年10月17日

ようこそ客席のないレストランKEYAKIへ

入社間もない頃、私はレストラン欅の地下レストラン部門の接客係でした。
落ち着いた雰囲気のレストランにはカウンター席が4席ありました。座った正面に飾り棚があり食器やグラスが飾られてありました。

その中に何脚かの個性的なコーヒーカップがあり、私は、ほぼ毎日ディナー営業の前にいらっしゃる当社の社長にそのカップを使ってコーヒーを入れていました。
社長のご機嫌、私の気分、日替わりのカップチョイスが出来るのです。実は静かに楽しんでいました。

オープンキッチンだったため、店内の装飾品や飾り棚の食器類は意外と汚れます。今だからお話ししますと、社長には申し訳なかったのですが飾り棚のコーヒーカップを使っていた理由にカップの手入れもかねての事でした。

ある日、いつものようにいらっしゃった社長は「おはようー」と言い、夕刊も取らずに枯れ枝の様に腰を下ろし、酷くお疲れの様子。(飲食業では、夕方でもその日初めての挨拶は「おはよう」なのです)

私には前々から気になっているデミカップがありました。隣の個室「サロンローズ」のコーナーにある飾り棚の花柄のデミカップ、それもたった一脚しかありませんでした。このコーヒカップはいったい、いつ、どんな時に使えるのだろう?と思っていました。

「そうだ、今日社長に使ってみよう」明らかに「うけ」狙いでした。通常の物より一回り小さいタイプのデミカップ、いつもの半分も入りません。さらに、どう見ても社長には似合わない花柄のKAWAIIカップ。ふざけすぎ?注意されるだろうか?

私は、変な緊張をしながらいつものカウンター席の社長の前に、小さなコーヒーを静かに出しました。一瞬、社長の目はほんの少し大きくなり、次に細くなったことを覚えています。
いつものように砂糖とミルクを入れて何も言わずに飲んでくれました。

そんなデミカップ「エスプレッソコレクション・HOYACHINA」です。

コーヒーカップの思い出。大切にしたいです。

客席のないレストランKEYAKI
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ブルーデミカップ

2022年08月17日

ようこそ、客席のないレストランKEYAKIへ

それは、私が入社間もない約40年前、地下にあるレストランKEYAKIでのことです。
当時、レストランのワイングラスやデミカップは一つ一つ丁寧に手洗いをしていました。

先輩から「それ、高級なんだから気を付けろよ」と言われたとたん・・・まるで絵に描いたように綺麗に割ってしまったのです。
一瞬、時間が止まり、カップを失ったソーサーが「どうします、なんとかしてください!」と、私に問いかけてきます。ほんとごめんなさい!

それは、某高級食器メーカーO陶園のブルーのデミカップでした。意外だったのが先輩方が優しかったことを覚えています。


レストランKEYAKIでは、そのお客様や会食の趣旨や雰囲気に合わせて、何種類かあったデミカップの中から選び、食後のコーヒーをお出ししておりました。
私にも「デミカップを選ぶ」という裁量権を与えられており、とても好きな仕事のひとつでした。

この形のデミカップは4色で各6脚ありました。1個でも欠けるといろいろな面で使いにくくなるのです。
急いでブルーのデミカップ1脚だけ注文すると、メーカー(窯元)からは、「ブルーというご指定だけではできません。同じ色に仕上げるためには割れてしまったセットのソーサーをお送りください。特にブルーは難しいのです。」とのことでした。
すぐにソーサーを送りました。


約1年後、「同じブルー」のデミカップは6脚揃いました。
ブルー、とてもいい色に仕上げて下さいました。

KEYAKIのデミカップは私にとって先輩のような、同僚のような、大切なカップです。

特にブルーは。

客席のないレストランKEYAKI
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お迎えする飾り皿

2022年07月18日

ようこそ、客席のないレストランKEYAKIへ

レストランではお客様をお迎えする時、お迎え用の「飾り皿」をセットいたします。

「本日は当店にようこそいらっしゃいました。
おいしい料理で楽しくお過ごし下さい。スタッフ一同心を込めておもてなし致します。」という、ご挨拶と責任の意味を込めてナフキンと共にセットいたします。

今日は、当店の飾り皿をお紹介いたします。
(当ブログの分類:「テーブルナフキンの折り方教室」にも登場しています)

この皿は、昭和40年代後半から閉店まで半世紀の間、地下にあったレストラン欅で実際にお客様をお迎えしていました。

何人のお客様を迎えてくれたことでしょうか。

この皿は、創業間もないころ特別オーダーで窯元に直接発注した品物と聞いています。

残念ながら、当初何枚準備したのか資料が残っていませんが50年の間には欠けたり割れてしまったりして、現存しているのは19枚です。


ブルーローズ柄は当時のグランドメニューブックと同じデザインで、金淵と中央のKEYAKIの「K」のデフォルメは当時のスタッフのこだわりとプライドを感じます。

「レストランKEYAKI」当初からの、素材に対するこだわりと本格フレンチを創造する情熱を大切に引き継ぎ、「客席のないレストランKEYAKI」はおいしいガサエビのビスクを世界にお届けしてまいります。

 

夏・青空・緑・花
皆様にとって素敵な日でありますように。

今日もおいしいビスクをお作りしております。

客席のないレストランKEYAKI
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