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華やか過ぎて‥‥

2024年04月26日

ようこそ、客席のないレストランKEYAKIへ。

KEYAKIのお皿コレクションから、今日はイギリスミントン社の代表作の「ハドンホール」をご紹介いたします。ミントン社は、銅板転写の彫刻師だったトーマスミントンによって1793年に創業されたイギリスの食器メーカーです。


この華やかな柄は、イギリスの古城ハドンホール城に飾られていたタペストリーが、デザインのモチーフになっているそうです。
長く愛されていて、なじみ深いシリーズです。皆さんもどこかでお使いになっているのではないでしょうか。 
ある日のシェフ。
レストランのお客様は、「ポアソン」もまもなく食べ終わりそうでしたので、次のメイン料理の「ビアンド!」と厨房に声をかけました。
ところが、その日はお肉料理がなかなか仕上がってきません。いつもより時間がかかりすぎです。私は思わず「シェフどうかしましたか?」と声を掛けました。
「ん…華やかすぎる‥…」そこには、ミントンのプレートを前に固まっているシェフがいました。瞑想?迷走?
いつもならミントンも大胆に使いこなせるシェフ、何か辛い事でもあったのでしょうか。
そんな日もありました。

明日から大型連休ですね。
お出かけの方は気を付けて「いってらっしゃい」

客席のないレストランKEYAKI
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鳥海山の箸置き

2024年03月08日

ようこそ、客席のないレストランKEYAKIへ 

今日は、私のお気に入り「鳥海山の箸置き」をご紹介します。
この箸置きは、酒田市宮海にある山形県立特別支援学校の生徒さんの作品です。

もちろん、ひとつひとつ手作りなので、同じものはありませんし、出来ません。

素朴な仕上がりですが、裏には安定させるための三点足もしっかりついています。

「四季の鳥海山を作ってほしい」という私の少々無理なお願に応えていただき、4種類の箸置きが仕上がりました。

なんと、雪解けの季節に現れる「種まき爺さん婆さん」も描かれています。

特別支援学校のみなさん、楽しい箸置きを作っていただきありがとうございました。

客席のないレストランKEYAKI
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ブラックベリー

2024年02月25日

ようこそ、客席のないレストランKEYAKIへ

KEYAKIコレクションからイギリスのロイヤルウースター社のブラックベリー柄で人気の「ラビニア」というお皿をご紹介します。
ラテン語だとブドウ畑という意味ですが、ブラックベリーはバラ科のいちご類だそうです。

フラットな作りがとても持ちやすく、サービス仲間でも評判の良いお皿でした。
そのため、他の皿よりよく使われていたような気がします。

使いこなされて金の縁取りが少しかすれているところが、良い感じです。

ロイヤルウースター社の歴史は古く、1751年にイギリスのウースター市で創業しました。その後、1789年に王室御用達の称号を得て現在の社名「ロイヤルウースター社」となりました。
ちなみに、食卓にいつもある、「ウスターソース」も同じウスター市の主婦が作ったソースです。

お皿の刻印の中央の数字51は、1751年からきています。

ブラックベリーといえば、最近酒田でも栽培している人がいます。近いうちにブラックベリージュースとして発売の予定もあるそうです。
楽しみですね。

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不思議なコーヒーポット

2024年01月04日

ようこそ、客席のないレストランKEYAKIへ

今日は、イギリスウエッジウッド社の、不思議なコーヒーポットを紹介いたします。
ワイルドストロベリーシリーズの中でも少し大きめなコーヒーポットです。


冷めにくく、私達サービス係にとってはとても重宝する相棒でした。

ところがある日、同僚がふとした拍子に取っ手の部分を折ってしまったのです。幸い軽傷だったため、上の写真でもお分かりの様にきれいに修復することが出来ました。

  

接着の為しばらく休ませおいて、久しぶりに使ったある日の事、不思議なことが起きました。
お客様もお帰りになって、ポットに残ていたコーヒーを飲んだ同僚が「コーヒー豆変えたっけ?」というのです。
そんなことはないはず、と思いながら私も飲んでみました。
確かに少し丸くなったような気がしましたが、それは少し時間がたったからです。
その同僚は、どうしてもフルーティーになったというのです。
その同僚とは、取っ手を折った本人でした。
その同僚は、その時、自分の不注意で折ったことを酷く反省していました。

まさか、ワイルドストロベリーの暗示にかかていたのでしょうか。

それも「いちご」の味だったそうです。

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クリスマスプレート

2023年12月16日

ようこそ、客席のないレストランKEYAKIへ

今日は、クリスマスに使いたいKEYAKIのコレクションをご紹介いたします。
ローゼンタール社のスタジオラインのお皿です。

ローゼンタール社は1961年、フィリップ2世が「いつまでも真の価値を持ち続け、時代に合っているものこそ本物」という理念のもと時代を代表する芸術家やデザイナーとコラボレートした作品が多いドイツの会社です。

 

デンマークの芸術家ビョルン・ビンブラッドのデザインです。(廃盤品)

この季節、私たちはこのでデザインをクリスマスリースに見立てセットしてみました。

少し強引ですがお皿の助けも借りて、楽しいおもてなしです。

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アイスローズ

2023年12月04日

ようこそ、客席のないレストランKEYAKIへ

今日はKEYAKIの食器の中からイギリスのシュガーポットをご紹介いたします。

1959年にロバート・ミンキンがデザインした、ウエッジウッド社のアイスローズ(Ice Rose)というシリーズです。

真っ白なボーンチャイナにブルーローズが優しく咲くデザインは、まさにアイスローズという名前がピッタリです。

食後のデミコーヒーに静かに寄り添うシュガーポット。少し気になって調べてみたら1984年に廃盤になっていました。

気が付けば、普段使っているものがアンティークになっていたりすることって、少しうれしくなります。永く大切に、普通に使い続けたいと思います。

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ドイツの品質

2023年10月30日

ようこそ客席のないレストランKEYAKIへ

今日は、KEYAKIの食器の中からドイツのフッチェンロイターのお皿を紹介いたします。
特別高価でもなく普通のお皿です。とは言え、made in Germanyの品質の良さを改めて感じます。

1814年創業のドイツのフッチェンロイター社は、創業以来伝統を重んじ「人間の手にまさる技術、機械は存在しない」と信念を貫き、数百人の手を経て白磁が完成され、特に絵付け作業は手作業にこだわっているそうです。

花の名前は分かりませんが、優しく料理を引き立ててくれます。

縁のレリーフが施してあり素敵ですね。

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グロテスク文様

2023年09月16日

ようこそ客席のないレストランKEYAKIへ

今日は、KEYAKIのお皿コレクションから
「フロレンティ-ン ターコイズ」というお皿を紹介します。

ターコイズカラーを基調としていて、ボーダー状のデザインをよく見るとグロテスクなんです。
中央のフルーツの可愛らしさでバランスが取れている、なんだか不思議なお皿です。

1759年創業のイギリスの有名な食器メーカーのお皿です。日本でも長い間親しまれているお皿で、もちろん現在でも作られています。

フロレンティ-ンに描かれているボダーのグロテスク文様を調べてみました。
ギリシャ神話の「グリフィン」がモチーフで、グリフィンとは鷲の頭と翼、ライオンの胴体を持ち、黄金を守護とする空想の優れた動物のことです。
西洋版「鳳凰」と言うところでしょうか。

ポアッソンアラクレーム(鮮魚のクリームソース)をこの皿でお出しした、ある日のディナーの事を思い出しました。

この皿の中央に魚を盛り付けると、皆さんの想像通りかなり重い色合いの仕上がりになります。ましてやその日のシェフは悪魔にとりつかれたように、色のないガロニ(付け合せ)とまさかのバルサミコソース。これ以上暗い料理はない。
お客様は初老の女性。お魚を食べ進むにつれ「ホッとしたわ」。そうです、可愛いいフルーツが見えてきたのでした。
私もそれ以上にホッとしました。

シェフ曰く、「フルコースって楽しいね」。その日のビアンド(肉料理)は思いっきり明るい料理だったような気がします。

フロレンティーンの世界観にまた、深いものを感じました。

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皇妃ユジェニーという名の皿

2023年05月27日

ようこそ客席のないレストランKEYAKIへ

今日はKEYAKIのお皿コレクションをご紹介します。
実はこの皿、KEYAKIコレクションの中では、個人的に一番好きなお皿なんです。

「アンペラトリス ユジェニー」と言う名のお皿。
前回も登場したフランスリモージュ地方の陶器メーカー「アビラント」(創業者:ダビットアビラント)のお皿です。
仏:imperatriceアンペラトリスは皇妃という意味。そして、Eugenie:ユジェニーはフランス皇帝ナポレオン三世の皇妃のお名前なんです。
皇妃ユジェニーは、アビラントさんに好きなスミレの柄の皿を作ってほしいとお願いしたそうです。そして、彼女はそれをとても気に入り愛用し続けました。もちろん、この皿の名前は「アンペラトリス ユジェニー」となりました。
「なぜ、この皿の名前をスミレにしなかったのか」とか思いを巡らせたりして、フランスらしい歴史をも楽しめるテーブルウエアーの逸品です。
仏:violetヴィオレ=スミレ

当店のこのお皿、長年使われ柄の一部がすり減ってしまっていますが、それがまた愛おしく感じます。とにかく、この可憐なスミレ、いいですね。
今でもフランス大統領宮邸での晩餐会用の食器の一つとして使用されているそうです。  
スミレの季節ももうすぐ終わりますね。
これからの、梅雨や夏を乗り越えるためにも、ぜひ「ガサエビのビスク」をお召し上がりください。

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KEYAKIコレクション

2023年03月30日

ようこそ客席のないレストランKEYAKIへ

今日は、レストランKEYAKIで実際に使っていた食器の中から「アビランド」を紹介します。

アビランドはフランスのリモージュ地方に工場がある陶器や磁器のメーカーです。
益子焼、美濃焼、リモージュ焼と言ったところでしょうか。
リンカーン大統領の食卓でも使われていたそうです。
正直言ってこのぐらいの事しか知らなかった、今日ご紹介する「ヴューパリグリーン」(ミート皿)について、この機会に少し調べてみました。
残念ながらすでに廃盤になっていると思いますがアビランドの人気のシリーズの一つだったそうです。
ナポレオンの皇帝スタイルのデザインで、ブローニュの森のバガテル庭園をイメージにしたものだそうです。

ナポレオンの威厳とヨーロッパ庭園の可愛らしさが一枚のお皿の中に盛り込まれている、とても好きな皿です。

ガサエビのビスクの後のポアッソンで、お料理と同じくらいお皿も楽しんでもらいました。

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デミカップと社長

2022年10月17日

ようこそ客席のないレストランKEYAKIへ

入社間もない頃、私はレストラン欅の地下レストラン部門の接客係でした。
落ち着いた雰囲気のレストランにはカウンター席が4席ありました。座った正面に飾り棚があり食器やグラスが飾られてありました。

その中に何脚かの個性的なコーヒーカップがあり、私は、ほぼ毎日ディナー営業の前にいらっしゃる当社の社長にそのカップを使ってコーヒーを入れていました。
社長のご機嫌、私の気分、日替わりのカップチョイスが出来るのです。実は静かに楽しんでいました。

オープンキッチンだったため、店内の装飾品や飾り棚の食器類は意外と汚れます。今だからお話ししますと、社長には申し訳なかったのですが飾り棚のコーヒーカップを使っていた理由にカップの手入れもかねての事でした。

ある日、いつものようにいらっしゃった社長は「おはようー」と言い、夕刊も取らずに枯れ枝の様に腰を下ろし、酷くお疲れの様子。(飲食業では、夕方でもその日初めての挨拶は「おはよう」なのです)

私には前々から気になっているデミカップがありました。隣の個室「サロンローズ」のコーナーにある飾り棚の花柄のデミカップ、それもたった一脚しかありませんでした。このコーヒカップはいったい、いつ、どんな時に使えるのだろう?と思っていました。

「そうだ、今日社長に使ってみよう」明らかに「うけ」狙いでした。通常の物より一回り小さいタイプのデミカップ、いつもの半分も入りません。さらに、どう見ても社長には似合わない花柄のKAWAIIカップ。ふざけすぎ?注意されるだろうか?

私は、変な緊張をしながらいつものカウンター席の社長の前に、小さなコーヒーを静かに出しました。一瞬、社長の目はほんの少し大きくなり、次に細くなったことを覚えています。
いつものように砂糖とミルクを入れて何も言わずに飲んでくれました。

そんなデミカップ「エスプレッソコレクション・HOYACHINA」です。

コーヒーカップの思い出。大切にしたいです。

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ブルーデミカップ

2022年08月17日

ようこそ、客席のないレストランKEYAKIへ

それは、私が入社間もない約40年前、地下にあるレストランKEYAKIでのことです。
当時、レストランのワイングラスやデミカップは一つ一つ丁寧に手洗いをしていました。

先輩から「それ、高級なんだから気を付けろよ」と言われたとたん・・・まるで絵に描いたように綺麗に割ってしまったのです。
一瞬、時間が止まり、カップを失ったソーサーが「どうします、なんとかしてください!」と、私に問いかけてきます。ほんとごめんなさい!

それは、某高級食器メーカーO陶園のブルーのデミカップでした。意外だったのが先輩方が優しかったことを覚えています。


レストランKEYAKIでは、そのお客様や会食の趣旨や雰囲気に合わせて、何種類かあったデミカップの中から選び、食後のコーヒーをお出ししておりました。
私にも「デミカップを選ぶ」という裁量権を与えられており、とても好きな仕事のひとつでした。

この形のデミカップは4色で各6脚ありました。1個でも欠けるといろいろな面で使いにくくなるのです。
急いでブルーのデミカップ1脚だけ注文すると、メーカー(窯元)からは、「ブルーというご指定だけではできません。同じ色に仕上げるためには割れてしまったセットのソーサーをお送りください。特にブルーは難しいのです。」とのことでした。
すぐにソーサーを送りました。


約1年後、「同じブルー」のデミカップは6脚揃いました。
ブルー、とてもいい色に仕上げて下さいました。

KEYAKIのデミカップは私にとって先輩のような、同僚のような、大切なカップです。

特にブルーは。

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